鮮度水をシイラに用いた凍結、解凍及び味噌漬の予備試験
海洋深層水を利用した風の魚(フーヌュー)の味噌漬
1.はじめに
本品はこれまで当方が取り組んできた来たシイラ(商品名:風の魚[フーヌュー])の味噌漬を、製造の過程で 「魔法の水」とも呼ばれている海洋深層水を沖縄県海洋深層水開発協同組合の取り計らいにより分水した“鮮度液” ブランドを使用して加工した製品である。鮮度液は、沖縄本島南方約30km、南西諸島海溝手前の深度1,800mの海域に 世界的にも類を見ない洋上設置型海洋深層水取水装置「海ヤカラ1号」により深度600mと1,400mより汲み上げられた 海洋深層水より生まれた(この項は沖縄県海洋深層水開発協同組合の資料より)。鮮度液を使用するにあたっては、 提供元の沖縄県海洋深層水開発協同組合の使用指示に従って国頭村水道水への希釈によってシイラに噴霧する方法で 使用することにした。希釈する際の水道水と鮮度液の比率は水道水10リットルに対して0.7ml〜1.0mlとした。鮮度液 は無色透明、無味であり見た目や味の点では一般の水道水と変わらない。
2.海洋深層水の使用(素材の保存)
海洋深層水は、水揚げされた魚を水揚げ当日に加工できない場合も想定して一時的に冷凍保存をするとして使用した。 従来は、まず魚の成体の内蔵を取り出し頭部、胴体とに大きく分割して出来る限りの血抜きをして、急速冷凍で凍結 させた後にビニールでそれぞれ厳 重に包装していたが、どうしても多少の冷凍焼け等の身の劣化は避けられなかった。 この度、海洋深層水を試験的に導入して見てその効果に驚いた。スプレーによる噴霧方式をしたところ、冷凍中及び 解凍後の身が非常に鮮度がよく切り身も色、艶が以前と全然違うと言う喜ばしい発見であった。急速冷凍前の分割の 工程でシイラの鱗をそのままと、丁寧に除去した場合と数度にわたってどのような 変化が見られるかなどの実験を 行った。その結果、生体(成体)のまま内蔵を取り出すための包丁入れをせずに鱗をきれいに取り除 き、その後に 従来通りに臓物を取り、血抜きと分割をして、希釈した鮮度液を魚の皮の部分、さらに内部にも満遍なくスプレー した方が、鱗を残したものよりも解凍後の鮮度が高いことが判明した。解凍後に鱗とりをすると身崩れがおきやすい ので、あらかじめ鱗を取り除くのは鮮度液の効果をより高めるためにも妥当な方法だと思う。 成体で鱗を取り除いた 後に鮮度液をスプレーし凍結すると、鱗を除去する際に生じる摩擦により起こると思われる魚の皮の部分に赤味を帯 びた鬱血根が見られるが、自然解凍の終了時には鬱血が消え、身も新鮮に見える。詳しいことは分かっていないが、 スプレーにより鮮度液が魚の身の各部に浸透し、解凍時にも魚の身の活性化が図られているのではないかと思う。
3.加工にあたって
鮮度液を使用することにより冷凍によるマイナス部分を大幅に軽減できるのは、加工に携わる者にとって大変有り 難いことである。 加工においては基本的な仕込みの工程は従来の方法を変えずに行うことにした。切り身作りのた めシイラを三枚おろしにすると、鮮度液 で冷凍時に事前処理を施した魚の身も淡いピンク状の美しい色合いが保た れている。切り身に魚をおろした後には鮮度液を軽めにスプレーするようにする。 鮮度液(原液)の希釈液は、 煮沸しても効能が低下しないとのことで、加工工程で従来真水を煮沸して二次加工液の一部として、最終仕込みの 味噌床に漬け込む 前に使っていたものに使用することにした。味噌床への漬け込み期間は十分にとり、低温の冷蔵 庫内でじっくりと熟成させた後、所定の期間を経て取り出した味噌漬けの 身はハリがあり色の具合も良く、良い製品 に仕上がる。 海洋深層水(鮮度液)については、当方はまだ豊富な知識がないので分からない部分も多いけれど、 使用する意義は十分にあると思う。 また他の加工品にも活かす余地もあるものと信ずる。 写真を見る